大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

前橋地方裁判所 昭和34年(わ)216号 判決 1959年10月28日

被告人 松島春雄

昭二・三・三〇生 日雇労務者

主文

被告人を懲役八月に処する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、

第一、昭和三四年八月三〇日午後八時三〇分頃、佐波郡境町大字東新井五二四番地の三酒類、雑貨商太田ヤス方で飲酒中、たまたま同店を訪れた松本茂平(当時四七歳)に対し、清酒を提供し被告人と共に飲酒せんことを勧誘したところ、同人は、被告人が酒癖の良くいなのを知悉していたため被告人の勧誘に応ぜず、被告人の提供せんとした酒を飲まないでその場を立去らんとしたため、被告人は右茂平の態度を不満として、憤激の余、同店前道路上において、手拳をもつて同人の顔面部を殴打し、さらに同人を右道路上に突き倒してこれを蹴り、よつて同人に治療約一箇月を要する右外傷性近視、左眼巣内出血兼外傷性角膜潰瘍、脳震盪傷等の傷害を負わせ、

第二  同日午後一〇時頃前記太田ヤス方附近道路上において神谷敬一(当時三〇歳)を右松本茂平と誤認し、手拳をもつて同人の顔面を殴打し、又足で同人を蹴るなどの暴行を加え、

たものである。

(情状としての前科)

被告人は昭和二五年一〇月三日当裁判所において恐喝罪により懲役一年に、同二八年五月三〇日伊勢崎簡易裁判所において窃盗罪により懲役一〇月に、同三一年九月八日太田簡易裁判所において傷害罪により罰金八、〇〇〇円に、同三二年一〇月一八日前橋簡易裁判所において傷害罪により罰金二、〇〇〇円に、同年同月一〇日太田簡易裁判所において同罪により罰金三、〇〇〇円に、各処せられたものである。

(証拠の標目)(略)

(法令の適用)

被告人の判示第一の傷害の所為は刑法第二〇四条罰金等臨時措置法第二条第三条に該当し、判示第二の暴行の所為は刑法第二〇八条罰金等臨時措置法第二条第三条に該当するので所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上の両罪は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条第一〇条により重い判示第一の傷害罪の刑につき法定の加重をなした刑期の範囲で被告人を懲役八月に処する。訴訟費用については、刑事訴訟法第一八一条第一項但書によりその全部を被告人に負担させない。

(量刑について)

被告人は従前より飲酒の上、暴行傷害に及んだ前歴あることは前示前歴その他本件各証拠により明瞭であり、本件犯行も亦同種のものであり、改過遷善の実、無きのみならず、本件判示各犯行を検討するにその被害は軽視すべからざるものあり、本件諸般の情状を考慮するにおいては本件検察官の科刑意見(懲役四月)はいささか軽きに失する感なきをえず。

(裁判官 藤本孝夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例